湯河原で心身の調律を知った私が、さらなる越境の先に出会ったのが、アメリカ西海岸・オレゴン州のファームです。広大な大地とどこまでも高い空が広がるこの場所は、何かを生産するための農場ではなく、傷ついた心と身体をそっと休めるための、大いなる癒しの聖域。私にとってのもうひとつのリトリートです。
この場所で、私の心を最初にニュートラルへと導いてくれたのは、「水の音」でした。
夕暮れ時、大地が黄金色に染まる「ゴールデンアワー」。さわやかに、時には力強く吹き抜ける風の中、スプリンクラーが美しい水のダンスを踊り始めます。光を浴びて宝石のようにきらめきながら、渇いた大地と植物たちを潤していく豊かな水音と風の音——それもまた、自然が奏でるありのままの響きです。
スプリンクラーの規則正しいリズムをじっと聴いているだけで、都会でいつの間にか強張っていた心の結び目が、ゆっくりとほどけていくのを感じます。
水辺に目をやれば、小さなカエルがぽちゃん、と音を立てて飛び込み、自由にしなやかに泳いでいく。まだ幼いヤギのタロウとアイちゃんが、好奇心に満ちた足取りで水辺を探検している。そんな何気ない命の気配が、静かに、確かに、私の中の何かをほぐしてくれます。
水は、すべての命を等しく潤し、生かしてくれるもの。ただ五感を開いて、その水音に耳を澄ませ、水の匂いを吸い込む。何者である必要もなく、ただ自然の一部としてそこに在る——そんなHeart Neutralな時間が、この場所には流れています。
きらめく光と水が織りなす3分間の映像を、どうぞあなたの耳と目で、静かに受け取ってください。

