「なんだろう?」から始まる
遊ぶことで、心に余裕が生まれる。前回はそんなお話をしました。それでも、オレゴンのファームで、子ヤギのタロウとアイちゃんを眺めていると、ときどき「遊ぶって、どういうことだろう」と考えます。
突然、走り出す。気になるものを見つけると近づいてみる。はしごによじ登ろうとしたり、丸太に飛び乗ったり。
何かを達成するためというより、「なんだろう?」「やってみよう」と、目の前の世界に関わっていく。
考えてから動くのではなく、気になったら、まずやってみる。
Run first. Think later.
そんなふたりの姿は、私にはとてもプレイフルに見えます。
なんでも、遊び場になる
ファームにあるはしごも、丸太も、もともとは子ヤギたちのための遊具ではありません。
けれど、タロウとアイちゃんが近づき、触れたり、登ったりした瞬間、いつもの風景が遊び場へと変わっていきます。
Anything can become a playground.
目の前にあるものを、決められた用途だけで見ない。自分なりの見方や関わり方を見つけてみる。
遊びには、そんな創造性もあるように思います。
何かをつくることや表現することも、その延長線上にあるのかもしれません。
寄り道から、何かが始まる
大人になると、私たちは何かを始める前に、「これはどこにつながるのだろう」と考えることがあります。
けれど、すべてに最初から行き先が見えている必要はないのかもしれません。
「おもしろそう」「ちょっとやってみたい」。
そんな小さな好奇心に誘われて、いつもの道から少し外れてみる。そこで出会ったものが、思いがけず次の何かにつながっていくことがあります。
遊びには、まだ知らないものに出会うための、小さな寄り道のようなところがあるのかもしれません。
振り返ると、私自身も
会社員として働きながら、写真を撮り、作品を制作し、展示する活動を続けてきました。
当時は、それが将来何につながるのかを考えて始めたわけではありません。ただ、写真を通して世界を見ること、感じたものを自分なりに表現することがおもしろかったのだと思います。
その後、オレゴンでの暮らしや自然、動物たちとの時間を映像に残すようになり、YouTubeチャンネルと記事で発信する「Heart Neutral Life」を始めました。そして今、その経験は、湯河原で計画しているアトリエという「つくる場所」にもつながろうとしています。
最初からゴールが決まっていたわけではありません。
好奇心から始めたものが、あとになって別のものとつながっていった。
振り返ってみて、今、そんなふうに感じています。
まだ見えていない可能性へ
プレイフルとは、ただ楽しく遊ぶことだけではないのかもしれません。
心が動いたものに少し近づいてみる。やってみる。夢中になる。そして、ときには自分なりの形で表現してみる。
その先で、思いがけない人や場所、次の活動とつながることがあります。
人生には、ゴールを決めて進む時間もあれば、まだ行き先の見えないものに心をひらく時間もあってもいい。
「おもしろそう」と感じたら、少し近づいてみる。
その小さな寄り道が、まだ知らない自分や、新しい可能性につながっていくこともあるのではないでしょうか。
――――――――
Film|タロウとアイちゃんの遊び時間
はしごに登ったり、丸太に飛び乗ったり。
「なんだろう?」「やってみよう」から始まる、タロウとアイちゃんの遊び時間を、オレゴンのファームから。

